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法定相続情報一覧図を作成するメリット

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年4月25日

1 法定相続情報一覧図のメリットとは

⑴ 相続手続きには戸籍が必要

亡くなった方の不動産の名義を変更したり、預貯金を解約したりするなどの相続手続きをする場合には、基本的には亡くなった方の出生から死亡までの戸籍や相続人の戸籍が必要であり、場合によっては大量の戸籍が必要になることがあります

これらの手続きのために戸籍の束を持ち歩いて手続きをすることは、手続きをする方にとって負担でもありますが、その手続きを担当する法務局や金融機関の担当者にとっても、それぞれの機関で相続に必要な書類がそろっているか数々の書類を確認しなければならないため、お互いに多大な労力を要することになります。

⑵ 法定相続情報一覧図

そこで、相続人の関係や生年月日などが記載された法定相続情報一覧図を作成し、法務局に、戸籍などの相続人の関係に関する資料を持ちこんだ上で、登記官が内容に間違いがないと確認した場合には、登記所にその一覧図が保管され、登記官による認証が付された一覧図の写しの提供を受けることができます。

認証が付された一覧図は、その後の相続手続きにおいて、戸籍の代わりとして使用することが可能です。

もともと、この制度は不動産の登記手続きを促進するために導入されたものではあるのですが、金融機関などでも利用できるようになっており、作成するメリットが増えています

※参考リンク:法務局・「法定相続情報証明制度」について

なお、制度導入の目的であった不動産の登記手続きにおいては、一覧図を作成した際に付される法定相続情報番号を記載することで、2024年4月1日から一覧図の写しの添付を省略できるようになりました。

※参考リンク:法務局・法定相続情報番号の提供による相続登記等における法定相続情報一覧図の写しの添付省略について

2 法定相続情報一覧図を作成する場合の注意点

相続手続きにおいて、法定相続情報一覧図を利用できる場合は多いのですが、必ずしもすべての相続手続きで利用できるわけではありませんので注意が必要です

法定相続情報一覧図の記載内容についても、手続きによっては注意しなければならない場合があります

例えば、相続税の申告に法定相続情報一覧図を利用しようとした場合には、子が実子か養子かを明らかにする必要があるため、単に「子」ではなく、「長男、長女、養子」などと記載されている必要があります。

また、相続放棄によって相続人ではなくなった方がいた場合にも、戸籍などの書類ではその事実が確認できないことから、一覧図には相続人として記載する必要があります。

法定相続情報証明制度を利用する場合、全国どの法務局の登記所でも利用できるわけではなく、被相続人の本籍地や最後の住所地、利用者の住所地などを管轄する登記所で、利用のための手続きをする必要があります。

ご自分で法定相続情報一覧図を作成したり、利用したりすることが難しいという場合には、これを専門家に依頼して代行してもらうこともできます。

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