上場株式の相続について
1 まずは株式の有無を調査
亡くなった方が上場株式を持っていた場合、これについても相続手続きを行う必要があります。
とはいえ、まずは上場株式が財産に含まれているかどうかを確認する必要がありますので、以下ではその調査方法についてご説明いたします。
2 上場株式の調査方法
まず、取引残高報告書などのように、定期的に証券会社から交付書類が自宅に郵送で届いている場合があります。
そのような場合には、証券会社に連絡をして、どのような株式(金融商品)を持っていたのかを問い合わせます。
ただし、このような郵送物が無かったからといって、株式を持っていないとは限りません。
例えば、住所の変更があったにもかかわらず届け出ていなかったり、電子的な方法で取引状況や残高の案内を受けていたりしたという可能性もあります。
その場合にも、どの証券会社の口座で管理をされていたか分からないと調査ができませんので、以下の方法で調査をします。
3 証券保管振替機構への開示請求
⑴ 開示請求について
証券保管振替機構に対して、上場株式などの口座の開設先に関する情報を開示してもらうように請求する(登録済加入者情報の開示請求)ことができます。
平成21年から上場会社の株式等については、電子的に取引を行う株式等振替制度が導入されており、証券保管振替機構は、株券・社債・コマーシャルペーパー・投資信託等の有価証券にかかる証券集中保管機関となっています。
上場会社の株主が口座を開設している証券会社などの情報が登録されているため、このような情報を開示してもらうことで、口座を保有する証券会社が分かることがあります。
この開示請求は、ご本人の他、法定相続人や遺言執行者でも請求ができるとされていますので、これによって、亡くなった方がどの証券会社に口座を開設していたかを調べることができます。
⑵ 開示請求の方法
開示請求の方法は、専用の開示請求書に必要事項を記入した上、運転免許証などの請求者の本人確認書類、法定相続情報一覧図や請求者と亡くなった方との相続関係の分かる戸籍、亡くなった方の住所が分かる書類などを添付して、証券保管振替機構に請求します。
その後、証券保管振替機構から、登録済加入者情報通知書が送付され、どの証券会社に口座を持っていたのかなどが分かることとなります。
ちなみに、この情報開示請求には、発行のための費用もかかります。
詳しい請求方法は、証券保管振替機構のホームページをご確認ください。
参考リンク:証券保管振替機構
証券会社が判明したら、その証券会社にどのような財産があったのかを問い合わせましょう。
4 財産調査を専門家に依頼することもできる
このような情報請求や証券会社への問合せは代理人からもできますので、弁護士などの専門家に相続財産調査を依頼していれば、この請求をしてもらうこともできます。
亡くなった方の上場株式についてもしっかりと調査したいとお考えであれば、専門家に財産調査を依頼されることもご検討ください。