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農地を相続する場合の注意点

  • 文責:弁護士 森田清則
  • 最終更新日:2025年4月22日

1 農地を相続する際の手続き

⑴ 農業委員会への届出

被相続人が所有していた土地を相続した場合、法務局で相続登記をする必要があります。

農地を相続した場合は、相続登記に加えて、その土地を管轄している農業委員会にも届け出る必要があります。

⑵ 相続登記・農業委員会への届出の期限

今まで、相続登記には期限はありませんでしたが、2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を取得することを知った日から3年以内に登記をしなければならなくなりました。

加えて、農業委員会への届出は相続を知ったときから10か月以内にしなければなりません。

期限内に届出をしなかった場合や農業委員会へ虚偽の届出をした場合は、10万円以下の過料が科されることがあります。

2 農地を売却するときの手続き

相続人のうち誰かが農業を引き継ぐ場合は、当該相続人が農地を相続して利用を続ければよいのですが、相続人の全員が農業を引き継ぐ意思がない場合、農地を売却することを検討する必要があります。

もっとも、農地は食料の生産に欠かせないものであることから、農地の適正かつ有効な利用を図るための制度がいくつか設けられています。

農地の売却については、一般的な土地と異なり、農地法による制限が設けられています。

以下、農地の売却方法について説明します。

⑴ 農地のまま農家に売却する場合

農地を農地のまま売却する場合は、農業委員会の許可が必要です。

この場合の許可は、農地法第3条に基づく許可となります。

許可が下りるためには、買主が農業経営に関わるといった一定の要件を満たすことが必要です。

具体的には、土地の買主が農家であること、もしくはこれから農業に参入しようとしていることが要件として定められています。

⑵ 農地以外に用途変更して売却する場合

農地を宅地など農地以外に用途変更して売却する場合も、農業委員会の許可が必要になります。

この場合の許可は、農地法第5条に基づく許可になります。

許可が下りるかどうかの判断基準としては、立地基準と一般基準というものがあります。

農業委員会は、これらの基準に基づいて許可をするかどうか判断することになります。

農業委員会の許可が下りて用途変更が認められたとしても、宅地としての利便性の有無により、買い手がつかないことなども考えられますので、用途変更をする際に検討しておく必要があります。

いずれにせよ、農業を引き継ぐ意思がなく農地を売却する場合でも、農業委員会への届出が求められます。

3 相続税申告が必要である場合

相続により取得した農地で引き続き農業がおこなわれる場合、一定の要件を満たすと、相続税の納税が一部猶予されるという制度があります。

また、納税を猶予されていた相続人が死亡した場合等においては、猶予されていた税額の納税が免除されます。

農地に大きな相続税が課せられてしまうと、農地の売却や離農の発生が増えることが懸念されます。

このような事態に陥ることを防ぐため、相続税の猶予制度が設けられています。

農地の納税猶予の適用を継続して受けるためには、相続税の申告期限の翌日から、毎3年を経過するごとの日までに継続届出書等を税務署に提出し続ける必要があります。

参考リンク:国税庁(農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例)

4 農地を相続放棄する場合

相続人全員が農業を引き継ぐ意思がない場合は、相続人全員で相続放棄をすることも考えられます。

相続放棄をする場合は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申立てをしなければなりません。

相続放棄をすると、相続人ではなかったと扱われ、農地以外の遺産も受け取ることができなくなりますので、注意が必要です。

そして、相続人全員が相続放棄をすると、相続人がいないことになります。

この場合であっても、家庭裁判所が相続財産清算人を選任するまでは、相続人であった者が農地を含めた遺産の保存義務を負うことがありますので、ご注意ください。

また、相続財産清算人には遺産または予納金の中から報酬を支払う必要があります。

5 専門家にご相談ください

農地の相続は、通常の土地の相続と異なることに加え、様々な注意点があります。

そのため、生前から農地の相続に詳しい専門家に相談するなどして、相続を円滑にできるよう準備しておきたいものです。

名古屋にお住まいの方で農地の相続についてお悩みの方は、私たちにご相談ください。

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