相続にかかる時間について
1 相続を専門家に依頼した場合にかかる時間
相続に関する案件を専門家に依頼した場合、相談から解決までにどれくらいの時間がかかるのかを気にされる方は多くいらっしゃいます。
こちらでは、相続案件の一般的な相談から解決までの流れを踏まえて、段階ごとにどのくらい時間がかかるかということについて、具体的にご説明いたします。
2 相続人調査
相続の手続きを進めるためには、相続人の調査が必要になります。
相続人が誰であるかを調査するために、被相続人や相続人の戸籍を収集します。
相続人が子どもだけであるのか、または、子どもがおらず、両親が亡くなっているために兄弟姉妹が相続人であるのか等、相続人が誰であるのかによって、必要となる戸籍の量は異なります。
被相続人や相続人が本籍地の転籍を繰り返している場合や、相続人が被相続人よりも先に死亡しており代襲相続が生じている場合などには、多くの戸籍を取得する必要がでてきます。
そのため、相続人が子どもだけの相続人調査であれば2週間ほどで終わることもありますが、相続人の数が多かったり、相続関係が複雑であったりする場合には、戸籍を揃えるだけでも2か月以上の時間を要することもあります。
3 相続財産調査
相続人の調査の後、または、並行して相続財産の調査を進めます。
不動産について調査する場合には、どこに不動産があるのか目星を付けた上で、各自治体が発行する不動産の評価証明書や名寄帳を取り寄せ、それらの情報をもとに登記簿謄本等を取得して、不動産の内容を確認します。
預貯金について調査する場合には、それぞれの金融機関に対して、口座や取引の有無を調査し、口座があることが分かったときには、その残高証明書などの発行を依頼して、財産の内容を確認します。
財産の内容が少なければ、調査は短い期間で済みますが、財産の内容が多ければ、その分調査の対象が多くなるため、長い期間が必要となることになります。
相続財産の内容がある程度分かっていれば、調査の対象は限定されますので、2か月程度で財産の全容が分かる場合もありますが、そのような手がかりがない場合には調査の範囲を限定することが難しいため、数か月以上の期間が必要になる場合もあります。
4 遺産分割協議
相続人の範囲が確定し、相続財産の内容が判明した後、他の相続人たちとの間で遺産分割協議をすることになります。
この遺産分割協議にどの程度の時間を要するかは、個々の事案によりますので、一概に必要な期間を示すことが困難です。
あまり揉めていないケースですと、2~3か月でまとまることもありますが、場合によっては、遺産分割調停や審判という裁判手続きが必要になることもあり、この場合には数年かかることもあります。
解決までにどの程度の時間がかかるかについては、当事者間の関係性や相続財産の内容も大きな要素ではありますが、代理人として関与した弁護士がどの程度うまく交渉を進めていけるかということによっても、その結果は大きく変わるといえます。
したがって、よりスムーズに協議を進めていくためには、相続の案件を得意としている弁護士へお任せいただくのがよいかと思います。
法定相続分の変遷 「財産が少ないから揉めない」は本当?相続紛争の実態と相続対策の必要性