相続手続きで注意すべき期限
1 いくつかの相続手続きには期限がある
人が亡くなると、お葬式や四十九日で忙しくなりますが、相続手続きの中には、法的な期限のある手続きもあるため、注意が必要です。
例えば、相続放棄や相続税の申告などの手続きにおいては、この期限を知らないと、多くの借金を相続することになったり、相続税を余分に支払わなければならなくなったりするなどの不利益を被ってしまうかもしれません。
そのため、相続に関係する期限について、しっかりと理解しておく必要があります。
以降で、期限のある主な相続手続きについてご紹介いたします。
2 相続放棄・限定承認の期限
- ⑴ 相続放棄
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相続放棄は、亡くなった方のプラスの財産もマイナスの財産も一切相続しない場合に利用する制度です。
例えば、亡くなった方が多額の借金を抱えている場合は、相続放棄をすれば、財産も一切相続できなくなりますが借金を相続しなくても済みます。
- ⑵ 限定承認
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限定承認とは、相続はするものの、債務は相続財産の限度でのみ相続するという制度です。
例えば、亡くなった方が100万円の預金と300万円の借金を残した場合、単純に相続をすると100万円の預金と300万円の借金を相続することになります。
しかし、限定承認をすれば、プラスの財産である100万円の範囲でのみ借金を相続し、弁済すればいいということになります。
- ⑶ 両制度の期限は3か月
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相続放棄と限定承認の期限は、相続があったことを知った時から3か月以内と定められています。
つまり、原則として、家族が亡くなったことを知ってから3か月間が経過すると、亡くなった方の遺産を無制限に相続することになり、思わぬ借金を背負うおそれもあります。
この期限は伸ばしてもらうこともできますが、別途、そのための手続きを期限内にすることが必要です。
ただし例外として、亡くなってから3か月が経過しても、相続放棄や限定承認が認められる場合もありますので、亡くなった方の財産をよく把握しておらず、あとで借金の方が多かったことが判明したなど場合は、相続に詳しい弁護士にご相談ください。
3 遺留分侵害額請求
- ⑴ 遺留分の概要
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遺留分とは、相続人に一定の割合の遺産を保持させることを保障する制度です。
例えば、Aさんが亡くなり、相続人は長男のBさんと長女のCさんであるケースで、遺言書で長男のBさんにすべての遺産を相続させるという遺言を残した場合、長女のCさんは一定の割合で遺産を渡すようBさんに請求できる可能性があります。
この遺留分は、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者、子、直系尊属)に認められています。
- ⑵ 遺留分の期限は1年または10年
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請求する人が、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年間、または相続開始から10年間が経過すると、遺留分は請求できなくなります。
そのため、一周忌に集まった際に話し合えばいいなどと考えていると、遺留分が請求できなくなるおそれがあります。
もっとも、亡くなってから1年が経過した場合でも遺留分を請求できることがあるので、相続に詳しい弁護士に相談していただくことをおすすめします。
4 不動産の名義変更の手続き
- ⑴ 相続登記の概要
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遺産に不動産がある場合には、その名義をその不動産を相続した方へ変更する必要があります。
この名義変更の手続きを、相続登記といいます。
登記の手続きは、その不動産を管轄している法務局へ申請書を提出することで行います。
- ⑵ 期限は3年以内
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相続登記は、相続で不動産を取得したことを知ってから3年以内に行わなければなりません。
正当な理由なく期限内に相続登記ができなかった場合には、過料が発生してしまいます。
相続登記を行うためには、不動産をどのように分けるか相続人同士でまず話し合う必要があるのですが、話し合いがスムーズにいかず、期限に間に合わない可能性もあります。
この場合の対応としては、いったん法定相続分の割合で取得したとして登記を行う、あるいは法務局へ相続人である旨を申し出ることで、相続から3年以内の登記申請義務を免れる制度を利用するといった方法があります。
5 税金の手続き(所得税)
- ⑴ 準確定申告
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準確定申告は、亡くなった方の所得税に関する手続きです。
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの一年間に生じた所得に課される税金で、確定申告が必要な場合があるものです。
亡くなった方の所得税については、その年の1月1日から死亡した日までを基準に計算され、相続人が期中の所得についての確定申告をすることになります。
この確定申告を準確定申告といいます。
- ⑵ 準確定申告の期限は4か月
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準確定申告の期限は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内です。
この期限に間に合わない場合は、延滞税などの過料が発生するため注意が必要です。
6 税金の手続き(相続税)
- ⑴ 相続税申告
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相続税とは、亡くなった人の財産を取得したときに発生する税金です。
一定以上の財産を取得した場合は、相続税についての申告を行い、相続税を支払う義務があります。
- ⑵ 相続税の申告期限は10か月
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相続税の申告期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
この期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税などの過料が科せられます。
- ⑶ 相続税申告は特例制度が多数ある
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相続に関連する税金のもう一つの手続きとして、相続税申告があります。
相続税とは、亡くなった方の財産を取得したときに発生する税金です。
例えば、不動産は高価な財産のため相続税が発生しやすい財産ですが、特例を使えば相続税を下げることが可能な場合があります。
また、配偶者が相続人の場合にも、相続税を安くすることができる特例があります。
これらの特例の中には、期限内に行われた相続税の申告手続きの中で「特例を利用する」ということを申告しなければ、利用できないものも含まれています。
そのため、相続税に詳しい税理士に相続税申告を依頼し、確実に期限内に申告をされることをおすすめします。
7 相続手続きに関するご相談
このように相続には守るべき期限が多くあるため、これらに迅速かつ適切に対応するためには、幅広い相続手続きや税金関係の知識が求められます。
そのため、相続の相談をする場合は、相続に関する法律はもちろん、税金にも精通した専門家に相談する必要があります。
私たちは、相続案件を集中的に取り扱う弁護士が中心となって相続チームを組んだ上で、税理士法人心の税理士と協力して、相続でお悩みの方のご相談にあたっています。
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自分で相続手続きをするときの注意点 相続手続きでは何をしなければならないか