受遺者の長男が遺言者より先に亡くなった場合、長男の子が自動的に相続できますか?
1 「相続させる」旨の遺言がある場合に、受遺者が遺言者より先に亡くなった場合
遺言書に特定の相続人へ「相続させる」旨の遺言があった場合には、その遺言は遺産分割方法を指定していると実務上扱われていることから、その相続人は、遺言者の死亡とともに当該財産を直ちに取得することができます。
しかし、「相続させる」旨の遺言により特定の遺産を取得するとされた相続人が遺言者よりも先に亡くなった場合には、遺言者が先に亡くなった者の代襲者等へ遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき「特段の事情」のない限り、その遺言が効力を生じることはないとされています(最判平成23年2月22日)。
一方、この判例よりも前になりますが、上記のような場合に代襲相続の規定の適用ないし準用を認めた裁判例(東京高判平成18年6月29日判時1949号34頁)もあり、現在は、この裁判例も上記「特段の事情」について判断されたケースとして位置づけられ得るものといえます。
したがって、「相続させる」旨の遺言がある場合に、遺言者が、長男が自分より先に亡くなった場合にはその長男の子に遺産を相続させる旨の意思表示をしていたとみるべき特段の事情が認められない限りは、長男の子が遺言によって当該遺産を直ちに取得することはできません。
2 遺言書では遺言書の書直しや予備的遺言によって対応
上記のような、仮に遺言者が受遺者より先に亡くなった場合に、その代襲者等に相続させたいという意思を遺言者が有していたとしても、裁判所によってその意思が認定されるかどうかは不確実です。
よって、このような場合、遺言者が存命中であれば、遺言書を新たに書き直すことで対応できます。
ただし、遺言者が書き直そうとしたときには、認知症などにより遺言能力を失っているおそれがあります。
そこで、相続に詳しい弁護士であれば、そのような場合にも備えて、最初に遺言書を作成する際に、予備的遺言をしておくことをアドバイスします。
例えば、特定の財産を受遺者である長男に相続させるとしておいて、遺言者よりも先に長男が亡くなった場合には、その子に相続をさせるという内容の遺言をしておきます。
弁護士法人心の弁護士が、遺言書の作成の相談を受ける場合には、このような予備的遺言をすることについてもご提案をさせていただきます。
3 遺言書の一部無効や遺言書の書直しや予備的遺言についての相談
弁護士法人心では、上記のように遺言書の一部が無効となる可能性がある場合、受遺者が遺言者よりも先に死亡したことで遺言を書き直す場合や、そのような場合に備えてあらかじめ予備的遺言をする場合など、相続に関する幅広いご相談をお受けしております。
様々な状況やあらゆる可能性を想定した対策をご提案することが可能ですので、名古屋で遺言や相続でお悩みの方は、弁護士法人心にご相談ください。
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