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相続放棄をしても遺族年金を受け取れますか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年2月22日

1 相続放棄をしても、遺族年金を受け取ることができます

相続放棄は、遺産の権利をすべて放棄する制度であるため、そのイメージから、遺族年金も受け取ることができないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、相続放棄をしても、遺族年金を受け取ることはできます。

その理由は、遺族年金は遺産ではないと考えられているからです。

以下では、相続放棄と遺族年金の関係についてご説明します。

2 そもそも遺族年金とは

家族の中で、家計を支えていた方が亡くなった場合、残された家族は路頭に迷うことになってしまいます。

例えば、夫婦のどちらかのみが働いていて生活をしているような場合は、働いている方が亡くなると、残された家族は収入が全くない状態となってしまい、生活をしていくことができません。

そういった事態を防ぐために創設されたのが、遺族年金という制度です。

3 遺族年金は2種類あります

遺族年金は、亡くなった方が加入していた保険に応じて、以下の2つの種類に分けられます。

⑴ 遺族基礎年金

国民年金に加入していた方が亡くなった場合は、遺族基礎年金が支給されます。

遺族基礎年金を受給できるのは、亡くなった方に生計を支えられていた子、または子がいる配偶者です。

⑵ 遺族厚生年金

厚生年金に加入していた方が亡くなった場合には、遺族厚生年金が支給されます。

遺族厚生年金の受給資格は、優先順位が法律で定められています。

まず、最優先で受給資格を有しているのは、亡くなった方の配偶者と子です。

次に第2順位は亡くなった方の両親で、第3順位が孫、第4順位が祖父母となります。

4 遺族年金は遺産ではない

遺産は、亡くなった方が所有していた財産を指します。

例えば、預貯金、不動産、株式、自動車などが遺産に含まれます。

相続放棄をすると、これらの遺産は受け継ぐことができなくなります。

他方、遺族年金は、ご家族が亡くなったことをきっかけに受け取れるものではありますが、初めから残されたご家族へ給付される年金であって、亡くなった方が所有していた財産ではありません。

そのため、遺族年金は遺産には含まれず、相続放棄をしても、受け取ることができるのです。

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