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相続放棄を行っても生命保険を受け取ることはできますか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年8月14日

1 相続放棄を行っても生命保険を受け取ることはできる

相続放棄を行った場合、相続人は被相続人のマイナスの財産を引き継がなくて済みますが、プラスの財産を引き継ぐこともできません。

被相続人が、自らが契約者かつ被保険者で、相続人を受取人とする生命保険契約に加入していた場合、相続人は、相続放棄をしていても、死亡保険金を受け取ることができます

なぜ死亡保険金を受け取ることができるかというと、死亡保険金は被相続人の遺産ではないからです。

生命保険契約とは、あくまで契約者と保険会社との間の契約であり、被保険者に保険事故があった場合に、生命保険会社から受取人に対して、保険金が支払われる契約となっていることから、受取人が保険会社に対して有する債権であって、遺産とは別のものとして扱われます。

「生命保険料は亡くなった方が支払っていたのだから、遺産ではないのか」と思われるかもしれませんが、理屈上では上記のとおりとなることから、相続放棄をしたとしても受け取ることができる財産になります。

なお、相続税においては、死亡保険金も課税の対象となり得ますが、あくまで「みなし相続財産」と規定されており、本来は相続財産ではないものを相続財産と扱うという位置付けとなっています。

そのため、「相続放棄をしてしまったから、死亡保険金は請求できない」、「死亡保険金を受け取りたいから、マイナスの方が大きい相続の放棄もできない」と考える必要はありません。

2 相続対策として行うときは注意

このように、相続人は相続放棄をしたとしても、死亡保険金を受け取ることができます。

このような扱いであることを利用して、債務超過の方について、生命保険契約をしてもらって、相続人を受取人としておき、相続人には相続放棄をしてもらうという相続対策が提案されることがあるようです。

しかし、このような内容の対策はトラブルを誘発する可能性があります。

例えば、もともと財産のない方が、1000万円の借金をして、自分が亡くなったときに相続人に1000万円が支払われる生命保険契約に加入した場合、相続人は相続放棄をすれば、1000万円の借金を負うことはなく、1000万円の保険金を受け取ることができることになりますが、実際はどうなるのでしょうか。

このような場合、債権者からすると、自らの負担で相続人に利益を与えることとなってしまっており、非常に不合理な結論となってしまいます。

そのため、債権者には、条件を満たした場合に保険金を差し押さえる権利が認められており、差押えを受けた場合には相続人が保険金を受け取ることができなくなる等トラブルとなり得ますので、注意が必要です。

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