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遺産分割で不動産はどう分けますか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年6月25日

1 遺産の中に不動産があると、遺産分割は揉めやすくなります

預貯金と違い、不動産は分けにくい財産ですし、その上、高額な財産であるという特徴があります。

そのため、遺産の中に不動産がある場合、遺産分割では揉め事が大きくなる傾向があります。

2 遺産分割における不動産の分け方

⑴ 誰かが不動産を取得するパターン

遺産である不動産を、相続人のうちの誰かがそのまま取得するという不動産の分け方があります。

このような方法を、現物分割といいます。

例えば、親と長男が同居していて、親が亡くなった場合、同居していた長男が、その不動産を取得するというパターンです。

長男にとっては、慣れた家に住み続けることができるというメリットがありますが、他の相続人からすると、高額な財産である不動産を長男だけが取得したことになります。

そのため、他に預貯金がある場合は、他の相続人が預貯金を取得する等して、公平性を図ることになります。

⑵ 誰かが不動産を取得する代わりに、他の相続人にお金を払うパターン

先ほどの例で、遺産に預貯金があまりない場合、長男だけが高額な遺産を取得したことになり、不公平な結果となってしまいます。

相続人全員が、それで納得した場合は問題ありませんが、納得しない場合は、長男が自分の預貯金から、お金を支払う必要があります。

このような方法を代償分割といいます。

代償分割を行う場合は、不動産の評価額が大きな問題になります。

不動産の評価額が低ければ、その分代償金が安くなるためです。

⑶ 不動産を売却するパターン

誰も不動産の取得を望まない場合、不動産を売却し、その売却代金を分けることもできます。

このような方法を、換価分割といいます。

上記の代償分割に比べると、不動産をお金に変えて、不動産の売却代金や預貯金等を含めたお金を相続人の間で分けることになりますので、不動産の評価額が問題となる可能性は低くなります。

一度お金に変えて分割するため、きっちりと分割したいというニーズに沿うことができる方法といえます。

他方で、不動産を売却する必要があるため、不動産を売却したことに伴う税金や、測量費、登記費用などの費用が発生することもありますので、これらの費用をどうするのかを事前に決めておく必要があります。

また、急いで不動産の売却を行う場合には、不動産の売却価格が相場よりも安くなる可能性もあります。

⑷ 共有名義にするパターン

遺産の不動産を、誰かの単独所有にするのではなく、相続人同士の共有物にする方法があります。

このような方法を、共有分割といいます。

不動産を共有にすることは、ある意味平等な結果ではありますが、不動産の管理方法や、売却するかどうかの判断などで意見が合わない場合、その後の手続きが困難になるというデメリットもあります。

また、共有者のうちの一人に相続が発生し、さらに共有者が増えることによって、最終的に誰が共有者となっているかを調べるのが困難となることもあり得ます。

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