特別寄与料と寄与分の違いに関するQ&A
特別寄与料と寄与分にはどのような違いがありますか?
特別寄与料と寄与分の違いとして、主なものとしては、期限の有無と、認められる人の範囲、認められる条件がそれぞれ異なります。
そもそも、特別寄与料とは、簡単にいうと、亡くなった人(被相続人といいます)に対して、無償で介護などを行ってきた相続人以外の親族が、相続人に対して、その寄与の程度に応じて請求できる権利のことをいいます。
他方、寄与分とは、簡単にいうと、被相続人に対して、無償で介護などを行ってきた相続人が、遺産分割において、その寄与の程度に応じて、他の相続人よりも遺産を多くもらうことができるという制度です。
そのため、そもそもの制度自体が異なります。
特別寄与料は、相続人以外の親族が請求でき、寄与分は相続人のみが認められる制度となります。
特別寄与料と寄与分の期限において、それぞれどのような違いがありますか?
特別寄与料の請求には6か月の期限があるのに対し、寄与分においては、相続開始後10年という期限が設定されています。
まず、特別寄与料の請求の期限について、被相続人の死亡及び相続人を知った時から6か月を経過した時、または、相続の開始日から1年を経過した時は、特別寄与料の請求をすることができなくなります。
特別寄与料の請求は、親族が行うため、基本的に誰が相続人であるかを知っているケースが多く、実際は、6か月が特別寄与料の請求の期限となることが多いです。
また、特別寄与料については、当事者間での話し合いがまとまらない場合は、「特別の寄与に関する処分調停」を提起することができます。
手続きの詳細は、以下の裁判所のホームページをご確認ください。
参考リンク:裁判所・特別の寄与に関する処分調停
調停でもまとまらない場合は、審判へ移行することになります。
次に、寄与分については、これまでは基本的に期限がありませんでした。
しかし、法律が改正され、令和5年4月1日からは、相続開始後10年が経過している場合、寄与分の主張ができなくなることになりました。
そのため、仮に令和5年4月1日に被相続人が亡くなり、令和15年4月1日以降に遺産分割を行う場合、寄与分を主張することはできなくなります。
また、遺産分割調停を行ったがまとまらず、遺産分割審判に移行する場合、寄与分を主張する相続人は、一定の期間内に「寄与分を定める処分の申立」をする必要があります。
申立ての詳細は、以下の裁判所のホームページをご確認ください。
参考リンク:裁判所・寄与分を定める処分調停
万が一、一定の期間内に寄与分を定める処分の申立をしないと、家庭裁判所は、遺産分割審判において寄与分を定めたり、寄与分を考慮して遺産分割の審判を行ったりすることができなくなります。
特別寄与料や寄与分が認められる条件について、それぞれどのような違いがありますか?
特別寄与料が認められるためには、「その者の貢献に報いるのが相当と認められる程度に顕著な貢献」がある必要があります。
他方、寄与分が認められるためには、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待される程度を超える程度の貢献である必要があります。
両者を比べてみると、特別寄与料については、「顕著な貢献」が必要となっており、寄与分が認められるよりもさらにハードルが高いものと考えられています。
実際、特別寄与料のほうが寄与分よりも認められにくい傾向にあり、認められたとしても、金額も低くなる傾向にあります。
また、特別寄与料は、療養看護など労務の提供が必要であり、被相続人に生活費を援助していた場合などの財産出資の場合は、認められません。
他方、寄与分の場合は、被相続人への金銭出資の場合は、財産管理型の寄与分として認められる場合があります。
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